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最高裁判所第三小法廷 昭和32年(オ)122号 判決 1958年7月22日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人中沢守正の上告理由一について。

民訴一三八条は控訴審にも適用のあること当裁判所の判例(昭和三〇年一〇月三一日第三小法廷判決、民集四巻五一六頁)であり、控訴審において当事者が第一審における口頭弁論の結果を陳述すべき場合、当事者の一方が口頭弁論期日に欠席したときは出頭した方の当事者に双方に係る第一審口頭弁論の結果を陳述させることができるものと解すべきである(昭和三一年四月一三日第二小法廷判決、民集一〇巻三八八頁参照)。されば原判決には所論のような違法なく、論旨は理由がない。

同二について。

記録によると原審最初の口頭弁論期日には控訴人(上告人)が欠席したため、原審は控訴状記載事項を控訴人が陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論を命じ、被控訴(被上告)代理人において第一審判決摘示のとおり第一審口頭弁論の結果を陳述したこと明らかである。これによれば、当事者双方の主張、立証は原判決の摘示記載のとおりに帰すること記録上明白であるから、原審が前示の経緯を判決に表示しなかつたことは原判決に影響を及ぼさないこと明白であり、所論は採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 垂水克己 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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